同じ時代と境遇で高め合う上白石姉妹は心強い「同志」
4万4120人の中からグランプリに選ばれたのは、積極的に参加した姉ではなく、「姉が受けるなら受けてみよう」と参加した妹の萌歌だった。姉も審査員特別賞を受賞し、姉妹ともに同じ事務所に所属した。
女優として先に脚光を浴びたのは、姉・萌音だ。周防正行監督で2014年公開の映画「舞妓はレディ」(東宝)で、いきなり主演に抜擢。「日本アカデミー賞」新人俳優賞など、さまざまな映画賞を獲得した。さらに、16年公開のアニメ映画「君の名は。」でヒロインの声を演じ、空前の大ヒットを記録した。
一方、妹の萌歌はちょうどこの頃、TOURSミュージカル「赤毛のアン」の主演をきっかけに、仕事が急増。18年には映画「羊と鋼の森」(東宝)で姉妹共演を果たし、「日本アカデミー賞」新人俳優賞を受賞した。
この映画のあるシーンで姉の萌音は妹の萌歌の涙を見て、つられて泣いてしまい、NGになったという。「姉妹じゃなければ起きない連鎖だったのかなって思いました。同じDNAを持ってるからこその、もらい泣きだった」(文藝春秋社「文春オンライン」18年6月11日)と振り返っている。