下戸の野口修が山口洋子の「姫」に足しげく通った理由
野口修は生来の下戸である。食事の折「あんたは遠慮せずに飲みなさいよ」と筆者にビールやハイボールを勧めながら、自分は一滴も飲まずに、静かにウーロン茶を飲んでいたことが思い出される。まったく酒の飲めない男が、銀座に足しげく通う理由に、それほどの選択肢はない。
旧来の銀座の常識を覆し、スポーツ選手や若い客を店に呼び込んでいた「姫」において、マダム・山口洋子の競争率たるや相当なものだった。
野口修の“闘魂”に火がつくのに、そう時間はかからなかった。 (つづく)