下戸の野口修が山口洋子の「姫」に足しげく通った理由
「何人でも言って下さい。何なら全員来てもらって構わないです」
■格闘技会場に女性客を招待
学生時代にダンスパーティーを催して才覚を磨いた野口にとって、男ばかりになりがちな格闘技の会場に、若くて美しい女の客を引き入れるのは、新しいプロスポーツのイメージを植えつけるのにうってつけだった。事実、野口は「むさ苦しい男ばかりの会場のイメージをガラッと変えたい」と、以前から柳橋や神楽坂の芸者や、知り合いのスナックのママとホステス、文学座や青年座の若い女優を無料で招待していた。
今や「RIZIN」「K―1」といった格闘技のビッグイベントにおいて、女性客のいない日はない。彼女たちの姿は今や会場に溶け込み、客席で見られるたびに、テレビ中継に彩りを添えてもいる。こうした光景は1966年から始まった野口プロデュースのキックボクシングがルーツになっている。
程なくして野口の姿は「姫」でも度々目撃されるようになる。開店当初から常連客だったホリプロ創業者の堀威夫は「このくらいの時期から、野口の姿を銀座で……というか、『姫』で見かけるようになった」と証言している。