対照的に倒産時も新東宝に残ったのが宇津井健、池内淳子といった屋台骨となった面々だった。池内淳子は程なく東京映画に移籍し、森繁久弥主演で人気を博した「駅前シリーズ」や「社長シリーズ」などのコメディー作品で新境地を開いた。
■「城哲也」こと白羽秀樹は…
一方の宇津井健は「永田ラッパ」で知られる永田雅一率いる大映から声がかかった。新東宝のエースで引く手あまただったはずの宇津井は、移籍の際に「行き場のない若い役者の面倒も見てくれ」という条件を出した。
さしたる実績のない若手俳優「城哲也」こと白羽秀樹少年が大映に移籍することになったのも、宇津井健の温情とみていいのかもしれない。 =つづく