海原小浜師匠の強烈な“芸人根性”…心臓発作でも人前では決して弱みを見せない
■心臓発作でも自力で救急車に…
救急車を手配し、小浜師匠に「このままでいてください」とお伝えしましたが笑顔で「大丈夫、おおきに」と客席から姿が見えなくなるまでお客さんにも「すんまへんな」と頭を下げながら自分で歩かれるので、誰もがトイレに行く程度にしか見えませんでした。
ところが、ホールのドアが閉まると同時に、小浜師匠は崩れ落ちるように倒れ、「すんまへんな、貧血やと思いますわ」とおっしゃる。「念のために救急車を呼びましたので」「大そうにせんでもよろしいのに」と笑顔で返すけれど、どんどん顔色が悪くなり、呼吸が乱れてゆきました。ほどなく救急車が到着し、ストレッチャーを劇場内に入れようとすると、小浜師匠は立ち上がり「(自分で)行けます。行けます」と苦しいはずなのに笑みを浮かべて歩かれ、通用口にいる方たちにも軽く笑顔で会釈をしながら自分で十数メートル先の救急車に乗り込まれたのです。
搬送後、心臓の緊急手術を受けられたので、あの救急車までの距離は尋常な苦しさではなかったはずですが、人前では決して弱みを見せないという強烈な“芸人根性・魂”を見せつけられました。
その後、回復されて番組でご一緒した時に「あの時はお世話になりましたね」と頭を下げられ、小声で「正直もうあかんと思いましたわー!」と笑顔で話される姿に昭和の芸人さんのたくましさを感じました。