菅田将暉主演「CUBE」は大ヒット映画の公認リメーク それなのに評価イマイチのワケ
実際のレビューに書き込まれたコメントには<何を描きたかったのかが不明><テンポが悪すぎて、全ての俳優がいつもより下手に感じた><原作の良さが何も反映されていない>と、辛辣なコメントが目立つ。
中でも原作映画に衝撃を受けたファンの中には、すでになかったものにしたいリメーク作品として今作を「黒歴史」扱いする人もいる。
■おぞましいスリラー映画がお涙頂戴のヒューマン映画に
リメークするにあたり、今の21年の日本にあった形にそれぞれの登場人物をブラッシュアップし、役割や立ち位置が入れ替わったりするのは仕方のないことだろう。
しかしリメーク版は蓋を開いてみると、良い部分をやすりで削って全部丸くした印象が強い。原作映画は極限状態の中で、残虐性の芽が出る人間の「おぞましさ」を描いた「スリラー映画」であり、登場人物たちのバックボーンが必要以上に語られることもなければ、回想シーンが入ることもなかった。
だからこそ登場人物たちと同じ目線で映画に入り込み、何も知らない人同士がそれぞれの持つ能力を用いて助け合い、補い合い、その末に殺し合ってしまうストーリーに考えさせられたのだ。