「半沢直樹」から「日本沈没」まで TBS日曜劇場が“常勝”できる2つの理由
新型コロナウイルス禍のいま、日本が消滅してしまうドラマでは夢もチボーもないから(古いナ)、TBS系「日本沈没ー希望のひとー」は、北海道と九州は沈まない結末になった。中途半端な最終回の世帯視聴率は16.6%とやはりイマイチだったが、全話平均15.8%は、「ドクターX~外科医・大門未知子~」(テレビ朝日系)に次ぐ2021年ドラマ視聴率ランキング2位だ(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。
好調だったのは「日本沈没」だけではない。「日曜劇場」は今年、連戦連勝である。「天国と地獄」「ドラゴン桜」「TOKYO MER」は、いずれも冬春夏の各クール1位で、年間ではトップこそ大門未知子に譲ったが、2~5位を独占した。去年は「半沢直樹」で最高視聴率32.7%を叩き出していて、いまや「1強」といってもいい。「日曜劇場」はなぜそんなに強いのか。
■1話の制作費は大河並みの8000万円
「ドラマとしてのレベルはともかく、『天国と地獄』は男女入れ替わり、『ドラゴン桜』は落ちこぼれたちの頑張り、『半沢直樹』は痛快リベンジ、そして『日本沈没』『TOKYO MER』は街が壊れるスペクタクルと、ドラマがヒットする要素をしっかり押さえ、おカネもかけてます。通常のドラマの制作費は1話3000万~4000万円ですが、日曜劇場はその2倍といいます。NHK大河ドラマが1本平均7900万円ですから、ほぼ同じ。日本で一番予算が使える民放ドラマなんです。話題作が続くのも当たり前ですね」(放送作家)
かつては「東芝日曜劇場」と1社提供番組だったが、東芝が降りてからも、日本生命、SUBARU、花王、サントリーとナショナルクライアントがしっかり付いて、この超高額番組を支えている。これも、65年の歴史と安定した視聴率、人気俳優の揃い踏み、安心して見ていられるテーマとストーリーという信頼があるからで、「日曜劇場」はスポンサーにも強い。
来年もこの独走は続くのか
放送曜日・時間にも恵まれている。もともと日曜夜は人々の在宅率が高いが、新型コロナウイルスの「ステイホーム」でさらに増えていて、1週間のテレビ視聴頻度も日曜午後8時の前後2時間がピーク。なるほどこの時間帯には、「日曜劇場」のほかにも、「NHK大河」「ポツンと一軒家」「ザ!鉄腕!DASH!!」「ダーウィンが来た!」と、高視聴率番組が並ぶ。「日曜劇場」の好調は、コロナの後押しもあった。
で、来年もこの独走は続くのか。年明けの新ドラマ「DCU」は、海や河川・湖で起きた犯罪や事故を担当する海上保安庁の新設部署が舞台で、主演は阿部寛。最新技術の水中映像と未解決事件の謎解きが見どころと、日曜劇場のヒットの法則をきちんと押さえている。海保も全面協力しているというから、期待しよう。
ところで、日曜劇場のこの人気にあやかりたいと期待しているのがNHK大河。来年の「鎌倉殿の13人」の主演は「日本沈没」の小栗旬、阿部寛も再来年の「どうする家康」の武田信玄役に決まっている。しばらくは、大河と日曜劇場のリレー視聴が増えそうだ。
(コラムニスト・海原かみな)