著者のコラム一覧
細田昌志ノンフィクション作家

1971年、岡山市生まれ、鳥取市育ち。CS放送「サムライTV」キャスターから放送作家としてラジオ、テレビの制作に携わり、ノンフィクション作家に。7月に「沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修評伝」(新潮社)が、第43回講談社本田靖春ノンフィクション賞を受賞。

五木ひろしの光と影<28>レコ大をめぐるナベプロvs野口プロの熾烈な戦いは「文字通り戦争」

公開日: 更新日:

「テレビのキャスティングは、中ヤンの一存で決めてもらって構わない。数字のいい番組にバンバン入れてくれ。事後報告でいいから、好きにやってちょうだい。任せたよ」

 当時のことを中邑はこう振り返る。

「野口さんって、確かにワンマン経営者でありましたけど、実に合理的な人でした。野口プロは格闘技の事務所ですから、やっぱり芸能のキャスティングが弱点なんです。だったら、外部の人間でも強いやつに任せればいいという柔軟な発想の持ち主。賞レースって、事務所とレコード会社の足並みが揃ってないと戦えないんですよ。その辺の本質をあの人は肌感覚でわかっていたように思います」

 渡辺プロダクションと野口プロモーション。何から何まで対照的な2つの芸能事務所が「日本レコード大賞」をめぐって、熾烈な戦いを繰り広げていた。「文字通り戦争でした」と中邑は言う。

 程なくして、「中盤戦の天王山」といえる戦いを迎えた。1973年11月20日。1970年に新設された「日本歌謡大賞」、いわばレコ大の前哨戦である。 (つづく)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動