五木ひろしの光と影<28>レコ大をめぐるナベプロvs野口プロの熾烈な戦いは「文字通り戦争」
拙著「沢村忠に真空を飛ばせた男」の登場人物で、「この人に話が聞けたのは大きかった」という人物が何人かいる。キーパーソンという存在だ。その中の一人が、かつて徳間音工の宣伝部に属していた中邑健二氏である。彼の証言によって当時の音楽業界はもちろん、賞レースの本質、さらには野口修及び野口プロモーションがいかに特異な存在だったか筆者は改めて知ることになった。
「ウチがレコ大の候補歌手に五木ひろしを推したのは、もちろん実力や人気、活躍度もそうだけど、事務所の勢い、つまりは野口さんの存在が大きかった。あの人のパワーって凄かったですよ。あれだけイケイケドンドンの社長っていなかったんじゃないかな。それに、当時は沢村忠が人気があったでしょう。TBSの中継も数字(視聴率)がよかったし。TBSとのつながりもあった、そのことも五木をプッシュした理由の一つでしたね」