五木ひろしの光と影<30>「賞レースで必要なのは金であって、接待」レコード会社元重役が証言
当時の「日本レコード大賞」の審査委員の内訳は以下の通り。音楽評論家、主要新聞各紙のデスク、スポーツ各紙のデスク、TBS系列各局の重役、音楽誌編集長、芸能誌編集長、主要新聞各紙文化部担当記者、スポーツ各紙音楽・芸能担当記者、音楽誌記者、芸能誌記者。合計40人。レコード会社元重役の生々しい証言がある。
「賞レースは“運動”をしないと絶対に取れないものです。必要なのは金であって、接待です。噂ではありません。では、なぜそこまでして賞を取ろうとするか、答えは簡単です。その分、曲が売れるからです。見返りが大きい。だからなくならなかった。ただし、今はそれがない。レコ大も紅白もセールスに直結しません。だから昔みたいな派手なことは減っていると思います。もしかしたら、ないのかもしれない。逆に言えば、それだけ今の音楽業界は苦しいということです。それに、今になって思うのですが、こういう行為は公平なんです。なぜならすべてのレコード会社がやっていたから。やっていない会社は皆無です。となると、受賞の基準は金の多寡だけではなく、あらゆる事情が絡み合い、意外と純粋な理由、例えばセールスやテレビの露出度や、年間を通しての活躍度が基準になったりします。おかしいでしょ(笑い)」