團十郎復活! 貫禄のある実盛を披露 歌舞伎全体の新しい勢力図が見えつつある
團十郎襲名という祝祭が終わり、歌舞伎座は日常に戻った。團十郎は新橋演舞場、菊五郎の一門は国立劇場、若手は浅草歌舞伎、玉三郎は大阪松竹座と、東西5つの劇場に役者たちが分かれているので、歌舞伎座は集客が厳しいようで、11月.12月の賑わいはない。
そのなかで第一部がいちばん客は入っていた。十数年前までの浅草歌舞伎の一座の同窓会的な座組で、まずは総出演の『卯春歌舞伎草紙(うどしのはるかぶきぞうし)』で華やかに幕開け。
続く、『弁天娘女男白浪』は、片岡愛之助が弁天小僧。歌舞伎座では初めてだ。市川猿之助、中村勘九郎、中村七之助が五人男で出ているが、この四人なら誰もが弁天小僧を演じられるはずで、贅沢な配役となった。最近は共演機会が減った旧・浅草歌舞伎の一座だが、年に一度でいいから、毎年結集してほしいものだ。
■彌十郎人気にあやかる松竹の現金さ
第二部前半は、高麗屋三代と猿之助での曽我兄弟ものの『壽恵方曽我』で始まる。染五郎を売り出したいなら、もっと大きな役を当てるべき。