歌手・森山愛子さん思い出語る アントニオ猪木さんからもらった“初ビンタ”と“2回目ビンタ”
森山愛子さん(歌手/38歳)
アントニオ猪木さんが亡くなって半年。3月7日には両国国技館で多くの人が参列して「お別れの会」が行われたが、猪木さんが名付け親の演歌歌手として知られるのが、今年でデビュー20周年の森山愛子さん。今も忘れられないビンタの思い出を語ってもらった。
猪木さんが亡くなったのは昨年10月1日。坂本冬美さんの明治座公演に出演させていただいている最中でした。楽屋に一人でいる時に訃報が流れて思わず「エーッ!」って声が出ました。ずっと闘病されて、つらそうなお姿もユーチューブで拝見していましたから、いつかはこんな日が来るのは覚悟していましたが、無敵の猪木さんですからやはり信じられませんでした。
最後にお会いしたのはコロナが始まったばかりの3年前。偶然、新幹線で同じ車両に乗り合わせたんです。斜め前に座っていらして、猪木さんが降りる時に「森山愛子です!」とお声がけしたら「マスクしてるからわかんなかったな」とおっしゃって。
車椅子に乗ってらしたけどとてもお元気な様子でした。猪木さんが「頑張ってね」と声をかけてくださったので、感激して「ありがとうございます!」とお礼を言いました。まさかそれが最後になるなんて……。
昨年12月に、徳光和夫さんが司会をされた「日本作詩大賞」(BSテレ東)に出演した時のことです。徳光さんが昨年の「24時間テレビ」で猪木さんに会った時に「森山愛子ちゃんとは仕事で一緒になることもあるんですよ」と言ったら、返事はなかったけれど、手をギュッと握り返してくれたという話をしてくださいました。新幹線でお会いしてからお会いする機会もないし、忘れられているかもしれないと寂しい気持ちでいたので、ジーンときました。すごく幸せな瞬間でした。
■陽気に歌ってくれた「達者でナ」と「南国土佐を後にして」
私はデビュー前は猪木さんの事務所で働いていました。猪木さんは親善大使だったパラオの「イノキ・アイランド」という島に事務所の人を連れて行ってくれたことがあります。
サンゴの養殖を手掛けていた猪木さんがシュノーケル一つで勢いよく海の中に潜る姿にびっくり。今でも私の目に焼きついています。
夜はみんなで食事に行き、楽しいひと時を過ごしました。いつになく陽気な猪木さんが歌ってくださったのが三橋美智也さんの「達者でナ」。
♪わらにまみれてヨ~、とご機嫌でしたね。
社員研修でグアムに連れて行ってくれた時もあって、その時に歌ったのはペギー葉山さんの「南国土佐を後にして」でした。激しいプロレスの世界にいる猪木さんが日本の古風な曲を歌う。イメージが違うので、すごく印象的でしたね。写真はグアムへ行った時の一枚です。この時はものすごくリラックスしてワインを飲まれて、本当に心地よいひと時でした。
猪木さんは体が大きいから、レストランで外国人から「ジャイアント馬場?」って声をかけられたのに、嫌な顔一つせずに「ノー!猪木」って返していました(笑)。