追悼・上岡龍太郎さん 希代の芸人美学、現場を魅了した「俺は日本一のハガキ読みになる」宣言
東はたけし、西は上岡
毎日放送時代に上岡さんと仕事をした経験がある影山貴彦氏(同志社女子大学教授=メディア論)はこう語る。
「現場でお会いした上岡さんの印象は笑顔がチャーミングな紳士でした。上岡さんの一言で収まり、芸人らしくクスリと笑わせ、これ以上言及できなくさせる痛快な返しは、東がビートたけしさんなら、西は上岡さんと言っても過言ではない、代わる人がいない逸材。今のSNSの炎上騒ぎなど、上岡さんならどう返すのか、コメントを聞きたかった。『芸人から政治家になったやつはたくさんおるけど、政治家から芸人になったやつはおらん。だから芸人は偉いんや』と三段論法でなるほどと思わせてしまう上岡マジック。
『私が天才、上岡龍太郎です』という自己紹介通り、京都出身で、品というか洗練された雰囲気の中に独特の毒があり、頭脳明晰。麒麟の川島明さん、カズレーザーさん、甥っ子でもあるミキの2人といった、京都のDNAが流れる芸人たちのルーツではないかとも思います。息子さんが追悼文で“矛盾の塊”と表現していましたが、流れるトークで一刀両断しつつも、どこかに矛盾やツッコミどころが隠れている。そんな“スキ”にこそ関西人が上岡さんを愛してやまない理由があります。余力を残して辞める、引き際の美学、有言実行ぶりは上岡さんの真骨頂。そして私も影響されて会社を辞めた一人でもあります」
希代の芸人が泉下の人となった。