人気落語家 柳家さん喬に学ぶ“笑い”の流儀…「落語でも間が大事。間は呼吸です」

公開日: 更新日:

 人気落語家の柳家さん喬師匠が自身の「仕事論」ともいえる「柳家さん喬『笑い』の流儀」(ビジネス社)を上梓。本書の編集協力を務めた売文家の甘粕代三氏が読みどころを解説する。

 ◇  ◇  ◇

 含羞の江戸落語第一人者が初めて人生、そして落語を語った。その語り口は高座と同じく羽二重のように滑らかにして時にしんみりとした涙、時には腹の底からの笑いとともに噺から風景が眼前に現れる、あのさん喬の世界に誘われる。

 敗戦の爪痕残る東京・本所吾妻橋の乾物屋次男坊に生まれた稲葉稔少年は学芸会で主役を張りたくても、周囲から水を向けられなければ手を挙げられない引っ込み思案の目立ちたがり屋。幼いころから演芸に親しみ、三木のり平、八波むと志ら喜劇役者に憧れる。そして落語番組のクイズにラジオを前に解答したところが見事に正解。落語の世界に興味を持つ。

■5代目柳家小さんに入門

 大学紛争に揺れた時代、進学か否か悩む高校生は父の店の常連が贔屓だった縁から、後に落語界初の人間国宝となる5代目柳家小さんの門を叩いた。

「『噺の稽古をするから来い』と言ってもらったことはありません」と師匠を振り返る。「芸は盗め」「芸を磨くより人を磨け」が座右の銘だった師匠から稽古をつけてもらった噺は前座噺の「道灌」だけ。稽古は来る日も来る日も剣士小さんのヤットーの相手だった。

 さん喬自身も三段となるが、剣道が「落語の基本精神を教えてくれた」「落語でも間が大事。間は呼吸です」と心得るに至る。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    【独自】フジテレビ“セクハラ横行”のヤバイ実態が社内調査で判明…「性的関係迫る」16%

  2. 2

    人事局付に異動して2週間…中居正広問題の“キーマン”フジテレビ元編成幹部A氏は今どこで何を?

  3. 3

    中居正広氏&フジテレビ問題で残された疑問…文春記事に登場する「別の男性タレント」は誰なのか?

  4. 4

    おすぎの次はマツコ? 視聴者からは以前から指摘も…「膝に座らされて」フジ元アナ長谷川豊氏の恨み節

  5. 5

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  1. 6

    萩原健一(6)美人で細身、しかもボイン…いしだあゆみにはショーケンが好む必須条件が揃っていた

  2. 7

    フジテレビに「女優を預けられない」大手プロが出演拒否…中居正広の女性トラブルで“蜜月関係”終わりの動き

  3. 8

    TV復帰がなくなった松本人志 “出演休止中”番組の運命は…終了しそうなのは3つか?

  4. 9

    "日枝案件"木村拓哉主演「教場 劇場版」どうなる? 演者もロケ地も難航中でも"鶴の一声"でGo!

  5. 10

    “年収2億円以下”マツコ・デラックスが大女優の事務所に電撃移籍? 事務所社長の“使い込み疑惑”にショック

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    べた褒めしたベッツが知らない、佐々木朗希"裏の顔”…自己中ぶりにロッテの先輩右腕がブチ切れの過去!

  2. 2

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  3. 3

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  4. 4

    巨人・田中将大“魔改造”は道険しく…他球団スコアラー「明らかに出力不足」「ローテ入りのイメージなし」

  5. 5

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  1. 6

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  2. 7

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…

  3. 8

    佐々木朗希を徹底解剖する!掛け値なしの評価は? あまり知られていない私生活は?

  4. 9

    大阪・関西万博の前売り券が売れないのも当然か?「個人情報規約」の放置が異常すぎる

  5. 10

    僕に激昂した闘将・星野監督はトレーナー室のドアを蹴破らんばかりの勢いで入ってきて…