旧ジャニーズ事務所「和解金」に5つの疑問…被疑者死亡で時効成立でも支払うの?
ジャニー氏が死亡しているので誰が支払うのか
加害者であるジャニー喜多川氏はすでに鬼籍に入っている。いったい誰が和解金を支払うのか。「東山紀之新社長が『法を超えて救済、補償が必要』と法律を超えるサポートを約束していますので、旧ジャニーズ事務所が法人として責任を持つと考えられます」(髙橋弁護士)
海外の例ではあるが、2018年、米ミシガン州立大学は、大学のスポーツ医だった男から性的暴行を受けた女子体操選手ら332人に対し、総額5億ドル(約550億円=当時)を支払っている。個人の犯罪とはいえ管理監督責任があるためという理由で、2年前には千葉市が女児に強制性交した市立小教諭の事件に絡み2035万円の和解金を払った事例がある。
■ジャニーズJr.だけが被害者なのか
被害者の心情をおもんぱかって口をつぐんでいるが、現在も活躍中のアイドルやかつて一世を風靡したグループメンバーに被害者がいなかったのか。たのきんトリオ、シブがき隊、光GENJI、SMAP……、まだまだ多くの売れっ子タレントが所属していた。
ベテラン芸能リポーターの石川敏男氏がこう明かす。
「もちろん、有名タレントの中にも被害者は確実にいます。売れっ子は黙っているだけ。今になって性加害が社会問題化していますが、私が見聞きしただけでも、女性タレントを含めて芸能事務所スタッフによる性加害はひどいものでした。ただ、売れると皆さん黙ってしまう。そうした事実を知りながら、声を上げてこなかった自分に対して今は自責の念があります。追及していれば、被害者は3分の1だったかもしれない。こうした性被害は氷山の一角なのです」
■今になって手のひら返し メディアの責任は
ここにきてテレビ朝日の篠塚浩社長が「性被害への意識が著しく低かったと反省している」と謝罪してみたり、日本テレビの石沢顕社長が「性加害については断じて許すことはできない」などと他人事のようにコメントしている。
というのも、今回の事件を調査した外部専門家による「再発防止特別チーム」(林真琴・前検事総長ら)が、「メディアの沈黙が犯罪を助長した」と厳しく指摘しており、加えて「ジャニーズ性加害問題当事者の会」からは「メディア各局が任意で資金を拠出する」ことを提案されているからだ。批判をされても時間が風化してくれるが、カネを出せと言われればもう他人事ではなくなる。ここにきてテレビ各局のトップが一斉に善意の第三者を装っているのには保身といった意味合いがある。
「藤島ジュリー景子氏が100%保有するという自社株も、買ってくれるところがなければただの紙切れです。今回の事件で最も罪が重いのはジャニー喜多川氏で、2番目がその事実を知って隠していた姉のメリー喜多川氏、そして3番目はジュリー景子氏ではなく、われわれマスメディアです。NHKも今さらながら紅白歌合戦への出演を規制するなどと言い出していますが、稲垣吾郎が公務執行妨害と道交法違反で逮捕された際、テレビ各局は『容疑者』ではなく『メンバー』と呼称している。メディアの罪は重いと思います」(石川氏)
テレビ局プロデューサーからの性被害の問題も横たわっている。