【追悼】伊集院静さん 女性にも男性にもモテた“男伊達”の生涯 “大人の流儀”を体現
作家の伊集院静さんが亡くなった。享年73。数々の名小説、エッセーを残した最後の無頼派だった。交友関係も文壇のみならず芸能界、スポーツ界と幅広く、酒とギャンブルを愛し、女性にも男性にもモテにモテた。
日刊ゲンダイには何度も登場していただいた。
2017年4月のインタビューでは、悩み多きサラリーマンに「私が世のサラリーマンに言いたいのは転勤、左遷、親会社の変更、終身雇用の崩壊とかいろんな“さよなら”があるだろうけど、そこで踏ん張るしかない。踏ん張らなければ光は見えないということです。姿勢を正しくして、アイツは眺めがいいなという人になれ。眺めとは何か。これはヤセ我慢。我慢をするしかないんです。違っていることに対して違うと言える人間になれということ。そして目の前にあるものをすぐに取りに行くなということ。先にあるものは何かを見る目を養うことが大事です。東芝にはそれが見えなかった。原子力開発は永遠だと思ったのでしょう。会社のトップが間違えるとああいう悲劇を生むことになる」と厳しくも熱いエールを。
また、「上り坂、向かい風を選べばもちろんキツイ。でも、それを経験しないと次の景色は見えません。私の考えでは困難なものに立ち向かっていくという人間の姿勢、姿、そこにこそ真理がある。真理とは揺るぎないものです。困難なものに立ち向かっている姿には間違いなく真理がある」
「人が見て陳腐、愚かに見えるものの中にこそ真理が隠れている。寿命が100歳になろうかという時代です。サラリーマンは定年からが第二の人生じゃなくて、そこからもう一度人生をやり直すくらいの気持ちじゃないと」と、給料も上がらず、うつむきがちな中高年サラリーマンを鼓舞してくれたものだ。
とかくダンディズムを貫くことが難しい時代に“大人の流儀”を体現した伊集院さん。作詞家としてのペンネームは伊達歩。まさに“男伊達”の生涯だった。