杉真理さん「あの時は緊張しました」 大滝詠一さんとスタジオで初共演した思い出のショット

公開日: 更新日:

杉真理さん(シンガー・ソングライター/69歳)

 CMソング「ウイスキーが、お好きでしょ」で知られ、大滝詠一らシティーポップのシンガーとの幅広い交流の中で数々のヒット作品を生み出してきたシンガー・ソングライターの杉真理さん。来月には世界的なブームになっているシティーポップのライブ「シティポップ・スタジオLIVE」を開催する。杉さんにとって、音楽活動の原点となった貴重なショットを紹介してくれた。

 ◇  ◇  ◇

 大滝さんとの出会いは知人の結婚式のパーティーです。知り合いが紹介してくれたのに、大滝さんはシャイな人だから最初は目も合わせてくれませんでした。

 その後、僕のラジオ番組に出てくださったりして交流が増えていくのですが、今でも忘れられないのはシンガー・ソングライターの五十嵐浩晃君の曲のコーラスを僕がアレンジして、大滝さんと2人でやったこと。あの時は緊張しました。僕はビビっているのがなるべくわからないように歌いました。その時にスタジオで撮ったのがこの写真です。

 でも、大滝さんとどうしてそんなことができたのか今でもわからないんですよ。あれは一体、何だったのかなあ。

 その数カ月後のことです。大滝さんからナイアガラ・レーベルのヒット企画「NIAGARA TRIANGLE」(1976年、大滝、山下達郎、伊藤銀次)の第2弾「NIAGARA TRIANGLE vol.2」の発表がありました。

 突然でした。レコード会社が集まり、あまり売れてないシンガー・ソングライターを売り出そうと、81年7月21~24日の4日間連続で「JAPACON」というライブを新宿ルイードでやった時のことです。初日は佐野(元春)君がやって次が濱田金吾君、その次が網倉一也君、最後の日が僕でした。そして最終日、全員が揃ったところに大滝さんがいらした。

 ステージに上がると客席に向かって「80年代に『NIAGARA TRIANGLE vol.2』をやろうと思っている」と話を始めた。「一人は佐野元春君に頼もうと思う」と言うと、佐野君が「面白い! やります」と答える。それから「もう一人は杉君で行こうと思う」と言われ、すぐに「やります! やります」と犬が尻尾振るみたいに返事しました。

 あとから聞いた話ですけど、大滝さんは「vol.2」を佐野、杉でやろうと決めていて、僕の予定を確認したら数日後に佐野と杉がそこ(JAPACON)にいることがわかり、「それなら自分も行こう」と考えたらしいです。大滝さんは発表の前の晩は興奮して眠れなかったそうです。

 この出来事はレコード会社、事務所関係者には知らされていませんでした。難しい問題があるから、知られたら待ったがかかるに決まっているとわかっていて、大滝さんがゲリラ的な手法で既成事実をつくっちゃったということみたいです。実際あの時は大滝さんに言われて僕も佐野君も即答するしかなかった。「事務所の人に相談させてください」とか「ちょっと考えさせてください」なんて言っていたら、間違いなく実現しなかったと思います。

 僕は大滝さんが「ロング・バケイション」(81年)で売れる前から好きで曲もよく聴いていました。その大滝さんが「ロング・バケイション」にようやくスポットライトが当たって注目され始めた時に、いきなり僕と佐野君を指名してくれたんです。普通なら、「ロング・バケイション」が売れて次も間違いなくヒットするとわかっているわけだから、自分のアルバムを出しますよね。だけど、そこで変化球を出してくる。予測不可能なところが大滝さんらしさなんですよね。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    【独自】フジテレビ“セクハラ横行”のヤバイ実態が社内調査で判明…「性的関係迫る」16%

  2. 2

    人事局付に異動して2週間…中居正広問題の“キーマン”フジテレビ元編成幹部A氏は今どこで何を?

  3. 3

    中居正広氏&フジテレビ問題で残された疑問…文春記事に登場する「別の男性タレント」は誰なのか?

  4. 4

    おすぎの次はマツコ? 視聴者からは以前から指摘も…「膝に座らされて」フジ元アナ長谷川豊氏の恨み節

  5. 5

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  1. 6

    萩原健一(6)美人で細身、しかもボイン…いしだあゆみにはショーケンが好む必須条件が揃っていた

  2. 7

    フジテレビに「女優を預けられない」大手プロが出演拒否…中居正広の女性トラブルで“蜜月関係”終わりの動き

  3. 8

    TV復帰がなくなった松本人志 “出演休止中”番組の運命は…終了しそうなのは3つか?

  4. 9

    "日枝案件"木村拓哉主演「教場 劇場版」どうなる? 演者もロケ地も難航中でも"鶴の一声"でGo!

  5. 10

    “年収2億円以下”マツコ・デラックスが大女優の事務所に電撃移籍? 事務所社長の“使い込み疑惑”にショック

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    べた褒めしたベッツが知らない、佐々木朗希"裏の顔”…自己中ぶりにロッテの先輩右腕がブチ切れの過去!

  2. 2

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  3. 3

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  4. 4

    巨人・田中将大“魔改造”は道険しく…他球団スコアラー「明らかに出力不足」「ローテ入りのイメージなし」

  5. 5

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  1. 6

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  2. 7

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…

  3. 8

    佐々木朗希を徹底解剖する!掛け値なしの評価は? あまり知られていない私生活は?

  4. 9

    大阪・関西万博の前売り券が売れないのも当然か?「個人情報規約」の放置が異常すぎる

  5. 10

    僕に激昂した闘将・星野監督はトレーナー室のドアを蹴破らんばかりの勢いで入ってきて…