やす子力走で「24時間テレビ」起死回生! 募金横領で一時は絶体絶命…それでも残る善意の押しつけ問題

公開日: 更新日:

 日本テレビ系の夏の風物詩「24時間テレビ47」が8月31日~9月1日に放送された。今年は番組への批判的な意見やチャリティーの意義の見直しなどを踏まえ、これまでの「愛は地球を救う」から「愛は地球を救うのか?」に番組テーマを変更。昨年に引き続き、メイン会場は東京・両国国技館だが、メインパーソナリティーは置かず、フリーアナの羽鳥慎一(53)、同局の水卜麻美アナ(37)、くりぃむしちゅーの上田晋也(54)の3人が司会を務めた。

 恒例のチャリティーマラソンはタレントのやす子(26)。今年は「マラソン児童養護施設募金」を新設し、画面左下に募金用のQRコードが表示されるというシステムが導入されたが、今年の24時間テレビほど開催危機を迎えた年はなかったと、番組関係者はこう振り返る。

「昨年の募金横領問題に始まり、性加害への補償が終了していない旧ジャニーズ事務所のタレント起用の可否など、局内を二分する議論が起こっていた。それでメインキャストの発表など、放送の準備は遅れ、放送日も、初めて9月にかかる日程となった。さらに放送直前には、台風の接近に伴い、マラソンを実施することにもSNSでバッシングが起こっていました」

 特に、系列局幹部社員による募金横領問題は、番組の根幹に関わるもので、いち局アナにすぎない水卜アナが、目に涙を浮かべながら謝罪した件では、水卜アナを矢面に立たせた日テレにさらなるバッシングが起こった。これらが相まって、視聴者にソッポを向かれ、募金額も視聴率も激減することが危惧されていたわけだ。

 しかし、フタを開けてみれば「絶体絶命の状況下で起死回生だった」と話すのはある日テレ関係者だ。

「放送終了時点での募金額はここ3年間で最高となる4億3801万4800円でした。ちなみに昨年(2023年)は、2億2223万8290円、一昨年(22年)は、3億1819万4209円です。年間を通しての正式な募金総額は例年秋に発表されますが、今年は、約15億に上った19年以降の10億円超えが期待できると思います。逆風の中、たったひとりのタレントの力走でここまで募金を集められたことは驚愕に値します」

 別の番組関係者はこう話す。

「台風10号の影響で、編成はマラソンを実施するかギリギリまで議論していたが、一向に収まらない雨を前に、日産スタジアムのトラックを250周走るというプランを選択。しかし雨が収まった場合は、スタジアムを出て両国国技館を目指すというプランも準備されていた。そして、本当に風雨が収まってきたので、1日早朝から両国を目指した。このあたり、やす子の強運もあったと思います。フワちゃんとの一件も、図らずもやす子への判官びいきの気持ちを後押しした。また、児童養護施設や復興の進まない能登半島にスポットを当てたことは意義があったと思います」

 番組の存続理由が厳しく問われる中、今回は、自ら児童養護施設出身であることをカミングアウトし、マラソンを走ったやす子が救世主となったというわけだ。

 番組ラストでは羽鳥アナが「今年は原点に立ち戻り、チャリティーの本質を見つめなおす決意と覚悟で臨みました」「継続することに意味があるのではないかという思いで私たちは今年の放送を決断しました」と結んだ。しかしながら、台風のさなかでも放送を強行し、開催中のパラリンピックを放送することもなかった「24時間テレビ」。善意の押しつけが限界を迎えていることはたしかだ。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    松本人志「事実無根」から一転、提訴取り下げの背景…黒塗りされた“大物タレント”を守るため?

  2. 2

    島田洋七が松本人志復帰説を一蹴…「視聴者は笑えない」「“天才”と周囲が持ち上げすぎ」と苦言

  3. 3

    人気作の続編「民王R」「トラベルナース」が明暗を分けたワケ…テレ朝の“続編戦略”は1勝1敗

  4. 4

    小泉今日子×小林聡美「団地のふたり」も《もう見ない》…“バディー”ドラマ「喧嘩シーン」への嫌悪感

  5. 5

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏の勝因は「SNS戦略」って本当?TV情報番組では法規制に言及したタレントも

  1. 6

    松本人志が文春訴訟取り下げで失った「大切なもの」…焦点は復帰時期や謝罪会見ではない

  2. 7

    窪田正孝の人気を食っちゃった? NHK「宙わたる教室」金髪の小林虎之介が《心に刺さる》ファン増殖中

  3. 8

    井上真央ようやくかなった松本潤への“結婚お断り”宣言 これまで否定できなかった苦しい胸中

  4. 9

    菊川怜が選んだのはトロフィーワイフより母親…離婚で玉の輿7年半にピリオド、芸能界に返り咲き

  5. 10

    福山雅治は自宅に帰らず…吹石一恵と「6月離婚説」の真偽

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    西武ならレギュラー?FA権行使の阪神・原口文仁にオリ、楽天、ロッテからも意外な需要

  2. 2

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動

  3. 3

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  4. 4

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏の勝因は「SNS戦略」って本当?TV情報番組では法規制に言及したタレントも

  5. 5

    小泉今日子×小林聡美「団地のふたり」も《もう見ない》…“バディー”ドラマ「喧嘩シーン」への嫌悪感

  1. 6

    国内男子ツアーの惨状招いた「元凶」…虫食い日程、録画放送、低レベルなコース

  2. 7

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  3. 8

    首都圏の「住み続けたい駅」1位、2位の超意外! かつて人気の吉祥寺は46位、代官山は15位

  4. 9

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏圧勝のウラ パワハラ疑惑の前職を勝たせた「同情論」と「陰謀論」

  5. 10

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇