「M-1グランプリ」V2王者の令和ロマンには「実力・戦略・運」すべてが備わっている
昨年末、20回目を迎えた漫才の大会「M-1グランプリ」でまた新たな記録が生まれた。高比良くるまと松井ケムリの2人から成る前年王者の令和ロマンが再び優勝を果たし、前人未到の連覇を達成したのだ。
1万組前後の出場者が集まるこの大会で、激戦を勝ち抜いて優勝するというのは並大抵のことではない。それを2年続けて達成してしまったというのは、お笑い界の常識をはるかに超えた異常事態である。
圧倒的な実力が求められるのはもちろん、場の空気をつかんで勝ち抜くための戦略や、くじで決められる出番順の運も必要とされる。恐ろしいことに、昨年の令和ロマンはそのすべてを備えていた。
彼らが連覇に挑んだのは、ボケ担当のくるまが1度目の優勝に納得していなかったからだ。彼は大会そのものを盛り上げたかったのに、歯車が噛み合わず、不本意な形で優勝をしてしまったという思いがあった。だからこそ参加を決めたのだ。
一度優勝した人はどういう芸風なのかも世間に知られているし、「勝っているのにまた出場するのか」と他の出場者やお笑いファンからは白い目で見られやすい。