批評家が厳選…猛暑の夏に背筋が凍る「恐怖映画DVD」特集
■誘拐シーンのリアリティーに胃がきしむ「チェイサー」
小さい子供がいる方はノンストップスリラー「チェイサー」が一番怖いかもしれない。のどかな公園、楽しく遊ぶわが子から一瞬目を離すと、もうそこに子供はいない。青ざめて捜し回るママの目に、今まさに車に引きずり込まれる坊やの姿が入る。この誘拐シーンのリアリティーと恐ろしさたるやハンパではない。そこから彼女の悲壮なる追跡劇が始まるが、警察を呼ぶ暇も、車を止める手だてもなくひたすら高速を追いかけるのみ。相手を見失う恐怖の中、ガソリンと時間はむなしく消費され続ける……。演技派女優ハル・ベリーの面目躍如、上映94分の間、胃が痛むような緊張感がずっと持続する。
■“オンナの怖さ”がトラウマになる「イニシエーション・ラブ」
同じ女性でも“オンナの怖さ”をトラウマレベルで植えつけるのが「イニシエーション・ラブ」。バブル時代を舞台にした、合コンで出会ったカップルの初々しい純愛ドラマ……だと思って見ていると、後半きっと死ぬほどビックリするはず。原作者・乾くるみ自らアイデアを出したという、この映像ならではの大トリックには、たとえ原作既読者でも唖然呆然だ。