六本木のゲイバーのドアを開けると健さんと長嶋さんが…
「うちのアパートの屋上で日光浴してたんです」
「バカ野郎! そういうときは“フィジーに行ってきました”くらいのことを言えよ。アパートの屋上じゃ、夢がなさすぎるじゃないか(笑い)」
人前に出るとき、健さんは鏡を見ては何度も着替え、支度に最低1時間はかけていた。もちろん、スーツから時計まで超一流。下着のパンツにまで気を使っていた。フランス製で、生地はシルク。
「辰夫、俺たちの職業はパンツ一枚でも、スーパーで売ってるようなのをはいたらダメだぞ」
そこまで徹底するのが高倉健という人だった。 (つづく)