<9>「紀州のドン・ファン」名付け親にメールで出した3択クイズ
最初のころは「紀州の資産家」「和歌山のエロジジイ」などの呼称を使っていたものだ。私自身は江戸時代のヒーローだった紀伊国屋文左衛門をイメージできないかと考えていたが、妙案は浮かばなかった。そんなときYクンが「紀州のドン・ファン」なるキャッチワードを生み出したのである。
「オッ、いいんじゃないか? ドン・ファンって感じではないけど語感がいいな」
■冗談の「殺人事件」が現実に
私はYクンのアイデアに即行で賛意を示した。それが生き残り、天下のNHKまでもがニュースで「紀州のドン・ファンと呼ばれた……」と使ったのだから日本中から認められたようなものであろう。
「さて問題です。ドン・ファンが大変なことになりました。次の3つのうち正解は何番でしょう。1・離婚 2・懐妊 3・死亡」
電車の中でこのようなメールを打った相手は、当時現代ビジネス編集長だったSクンだった。彼がいなかったらドン・ファンの本は出版されていなかった。社内の会議で出版見送りになったことを聞きつけたSクンが、「こんなに面白い本が売れないワケがない」と啖呵を切ってくれたおかげで日の目を見ることができたのだ。私からすれば井戸を掘ってくれた恩人というワケであるし、生前のドン・ファンとも会っているので知らせなければならないと思ったのである。