うつ病患者の6割に効果 最新「磁気刺激治療」体験レポート
「実際、何年も薬物治療を続けても効果がなく、副作用に苦しんでいた人が、最後の望みで来院するケースが多いですね。良くなった方は“もっと早くこの治療法に出合いたかった”とおっしゃいます。さらに、この治療法が素晴らしいのは、ダメージを受けた脳を元の状態に戻す効果があるということ。つまり、根本的な治癒が期待できる、唯一のうつ治療なのです」
治療の流れはこうだ。
まずは臨床心理士によるカウンセリング。その後、医師の問診を経て、TMS治療機が置いてある個室に入る(実際は問診の翌日から)。歯の治療に使うような電動リクライニング椅子に横たわり、頭を固定される。
次に、治療部位である「背外側前頭前野(はいがいそくぜんとうぜんや)」の位置を特定。背外側前頭前野は“大脳皮質の運動野の中でも親指をつかさどる部位”から5.5センチ前方に向かった所にあるので、まずは親指をつかさどる部位を探す(磁気が当たると親指がピクッと動く)。
磁気を当てるたびに小指や薬指がピクッと動く。おしい! 親指はどこ? 意外とアナログなのが面白い。ただし、ミリ単位で器具を移動させながら探していくので、30分以上時間がかかった。この作業は最初だけだそうだが、動けないし不安だし、精神的にかなり疲れた。