頭を打ってから発症まで時差 「軽度外傷性脳損傷」の基礎知識
MTBIを知ったのは事故から4年目。「MTBI友の会」発足のニュースがテレビで流れていて、取り上げられていた症状がそっくりだった。Aさんはすぐ連絡を取り、紹介された病院でMTBIの診断を受けた。
■「MTBI」4つの問題点とは?
友の会代表委員の佐曽利麗子さんが言う。
「Aさんのケースには、MTBIの4つの問題点が含まれています」
まず、加害者が事故直後に救急車や警察を呼ばず、第三者の証言や正確な記録がない点。事故後、警察の実況見分が加害者だけの立ち会いの下で行われ、内容は加害者優位によるものだった。
次に、整形外科を受診しており、脳神経の検査を受けていない点。
さらに、事故直後(受傷時)には意識障害があっても、受診時には意識を取り戻しており、診断書に「意識障害なし」と書かれている点。
そして、脳の画像検査MRIでは「異常が映りにくい」点。現在の日本の医療は画像診断偏重のため、患者の不調は認められず、詐病や精神的なものと決めつけられることも少なくない。ただし、画像検査の進歩は目覚ましく、事故当時は画像検査で異常なしでも、MTBIについて詳しい医師によって、新しい機器で検査を受ければ、異常が見つかる場合も出てきている。