頭を打ってから発症まで時差 「軽度外傷性脳損傷」の基礎知識
Aさんは、MTBIの診断と同時に病院で処方されるようになったてんかん薬で、意識喪失やけいれん発作は治まった。しかし、右側の視力、聴力、嗅覚、味覚の障害、右手を強く握れない、記憶力低下をはじめとする高次脳機能障害などを抱えている。
それでも事故との関連性が認められず、補償は受けられていない。実は最近、最新のMRIによって脳の異常がようやく判明したのだが、「過去にさかのぼって、事故と関連があるとは認められない」という結果に至っている。
私たちが知っておくべきは、「MTBI」という病気があること。軽度と病名に入っているが、「最初の意識障害が30分以内で治まる」という意味で、「症状が軽度」というわけでは決してない。
「いつでもだれにでも起こり得る問題として、一人でも多くの人に知ってもらい、予防してほしいのです」