寝言に返事をすると「夢遊病になる」って本当?
昔からまことしやかに囁かれてきた噂ですが、真相は? 神経内科医で作家の米山公啓先生が教えてくれました。
「寝言に返事をしたからといって、特に危険なことはありません。完全に迷信と言ってよいでしょう」
そもそも寝言というのは、睡眠中に夢の中で話している言葉が口から漏れ出たもの。
睡眠には浅い眠りの「レム睡眠」と深い眠りの「ノンレム睡眠」がありますが、夢を見るのは主にレム睡眠中。体は寝ているけれど脳が覚醒しており、寝言で会話ができることもあるといわれています。
「レム睡眠中は前頭葉が機能しておらず、話しかけられた言葉を理解しているわけではありません。仮に会話ができたとしても、反射的に返答しているだけで、本人の意識はまったく関わっていないはずです」
つまり寝言での会話は、会話として成り立っていないわけですね。ところで「寝言に返事をすると危険」なのは、「意識が錯乱するから」とか「夢遊病になるから」などといわれているようですが?
「それこそ科学的根拠のない迷信です。私たちは一晩で4、5回夢を見ますが、起きた時にはほとんど覚えていませんよね? 同じように、寝言も、それに対する返事も、覚醒時には忘れてしまいます。要するに、寝言に返事をしたところで、現実生活にはなんの影響もないのです」
寝言は夢の中だけのものというわけです。