5年で4000例 腹水を“抜けば弱る”の常識を覆す最新治療法
「理由は、腹水にはがん細胞だけでなく、免疫に関わるグロブリンやアルブミンという体に有用なタンパク質が含まれているからです。腹水を抜けば、こうした貴重な栄養や免疫物質まで捨てることになり、急速に体力が低下するのです。さらには、腹水がたまりやすくなるという悪循環に陥ります」(都内の消化器専門医)
■末期卵巣がんの診断からの生還例も
しかし、松﨑センター長が生み出した「KM-CART法」(改良型腹水濾過濃縮再静注法)なら、大量の腹水を抜いても迅速に全量濾過が可能となり、必要な成分を体内に戻すことで、患者は元気になるという。
「大量の腹水で他の医療機関から治療拒否された40代の卵巣がん4期の女性は、24.6リットルの腹水を抜いた上で、KM-CART法を行い、好結果を得ています。翌日には腹部膨満感や手足のむくみが取れ、2日後には退院。3年経った今も健在です」(松﨑氏)
同センターは今年8月までの5年足らずで4000例を達成し、1回につき平均で6.5リットル、最大27リットルの腹水を抜いたという。通常は2泊3日で治療されている。