著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

小倉智昭さんが膀胱がん告白 人工膀胱が嫌なら手術拒否も

公開日: 更新日:

■菅原文太さんは元気に7年

 膀胱がんは男性に多く、男女比は3対1。がんが膀胱の粘膜にとどまるステージ1だと、尿道から内視鏡で切除することもでき、5年生存率は91.8%ですが、取り残しが少なからずあって再発しやすい。膀胱と同じ尿路上皮で覆われている腎盂や尿管にもできているケースもあり、文太さんも尿管にがんがありました。

 そんな特徴があることから、がんが膀胱の粘膜を越えてその下の筋層に浸潤しているステージ2だと、日本では一般に膀胱全摘手術が行われるのです。下腹部にメスを入れて尿管を切断してから膀胱をすべて摘出。前立腺と精嚢も取り除きます。

 そうすると尿の出口がなくなるので、左右の尿管を小腸か大腸の一部につないだ上で、迂回路としてお腹に出口を設けるのです。断続的に尿が流れますから、パウチは欠かせません。小倉さんや文太さんが嫌がるのも無理はないでしょう。

 そこで、小倉さんは通院しながら遺伝子治療を受けているとのこと。今のところ転移はなく、順調な治療経過に喜んでいましたが、遺伝子治療は医学的に有効性が証明されているわけではありません。あくまでも“たまたま”。保険が利かず高価なこともあり、一般にはお勧めできません。

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