「老衰死」は数年前に予測できる?

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「これを見ると、BMIは亡くなる5年ほど前から落ちていき、2年ほど前になると不可逆的・加速度的に落ちていきます。最終的に『やせ』と判定される18・5をさらに下回る人が大多数です。食事も亡くなる1年くらい前から徐々に減っていき、8カ月前から目に見えて落ち、1日あたり600キロカロリーを切ってきます。水分も同じです。注目すべき点は、1200キロカロリーはこの年代の要介護高齢者が生きていく上で十分な栄養量にもかかわらず、食べても体重がどんどん減っていることです」

■BMI、食事量、水分量が不可逆的、加速度的に落ちていく

 食べたものが体重維持につながらないということは、「栄養が体格を一定に維持することにつながっていない」ということにほかならない。

 必要のない栄養や水分は体外に排出されると考えられる。だとすると、介護のもう一つの戦いである「排泄の援助」についても、自然に任せれば介護者の負担も変わるのではないかと推測できるのではないだろうか。

 介護の現場では「食べさせないと死んでしまう」という考えが支配的で、遠くの親戚が介護をしているお嫁さんに「おまえが食べさせないから亡くなった」などと非難することもあるという。

 このデータを見る限り、食べさせる努力をいつまで続けるべきか、食べさせる量はどのくらいが適当かなど、立ち止まって考え直す必要があるのではないか。

【連載】「多死社会」時代に死を学ぶ

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