肺がん手術を受けられる患者は意外と少ない
昨年10月、厚生労働省がレセプト(診療報酬明細書)情報・特定健診等情報データ(NDBオープンデータ)を公開しました。2014年度に全国の病院・診療所で行われた手術件数や検査件数が掲載されています。今回の連載では、これらのデータを使って日本の医療の実態に切り込んでいきましょう。まずは肺がん手術です。
肺がんは臓器別死亡数でトップ。NDBの数字から治療の実態を垣間見ることができます。
肺がん手術には、大きく開胸手術と胸腔鏡手術があります。開胸手術は、脇の下を長さ15センチから20センチほど切り開き、肋骨の隙間を押し広げて肺に到達するというもの。対する胸腔鏡手術は、脇の下に直径1~3センチほどの穴を数カ所あけ、そこからカメラと手術器具を差し込んで、映像を見ながら肺切除を行うというものです。切除片は穴から引き出します。
〈表〉は肺がん手術件数と、新規肺がん患者数、死亡数をまとめたものです。データ収集年次・年度が微妙に異なっていますが、細かいところは目をつぶることにします。