ホウレンソウの葉で心臓の再生医療 米大学の試みが話題に
ホウレンソウの葉を使って人の心臓を構築するという驚くべき試みが、マサチューセッツ州のワーセスター工科大学により「バイオマテリアル・ジャーナル」に発表されました。
ランチタイムに研究者たちが皿の上のホウレンソウを見て気づいたのは、ホウレンソウの葉脈は心臓の血管によく似ているということです。そこで彼らは、ある実験を試みました。
ホウレンソウの葉の細胞を葉脈だけ残して洗剤で洗い落としたのです。すると葉は透明になり、残ったのはセルロース(細胞壁)と葉脈の筋だけ。そこで哺乳類の細胞と相性がいいことで知られるセルロースの基質を、人間の心臓の細胞で埋めてみると、驚くべきことに細胞は葉脈の間に凝集し、5日後には脈打ち始め、最長で2週間動き続けたといいます。
再生医療の世界では、細胞を3Dプリンティングして移植用臓器を作るバイオプリンティングなど、さまざまな方法で移植用の臓器を作る試みが続いています。しかし、その中で心臓は最も難しいといわれているのです。
特に血液を運ぶ、分厚い筋肉の壁を構築するのが最大の壁です。この実験では、ホウレンソウの葉を何層にも重ね合わせることで、厚みのある構造を作れるのでは、という発想も生まれたそうです。