著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

予備軍も死亡率上昇 糖尿病でがんの人は大学病院がベスト

公開日: 更新日:

 糖尿病は、合併症がある点で生活習慣病の中で最も恐れられています。実は、がんとも密接な関係があるのです。

 糖尿病の人は、そうでない人に比べて全体としてがんの発症率が2割高い。特に膵臓がんと肝臓がんは2倍、大腸がんは1・4倍に上ります。さらに予備群が、がんで亡くなりやすいことも報告されたのです。

 国立国際医療センターの研究チームは、糖尿病の手前の状態の高インスリン血症の人とそうでない人を比較。高インスリン血症の人はそうでない人より2倍、がん死亡率が高いことを発表したのです。

 簡単にいうと、糖尿病の前段階として、血糖値を下げるホルモンのインスリンが効きにくい状態があり、インスリンが多く分泌されます。それが高インスリン血症で、インスリンには細胞のがん化を進める働きがあると考えられています。それで、長く糖尿病であると、がんで亡くなりやすいとされるのです。

 がんと向き合う上でも糖尿病がよくないことが分かるでしょう。よくないのは、がんの治療についてもいえます。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…