大腸がん 10年間で男女とも新規患者数増加の最大要因は?
大腸がんは2014年の死亡数で肺がんに次ぐ第2位(男性3位、女性1位)、12年の新規患者数で1位(男性2位、女性2位)になっています。しかも患者数は年々増加の一途をたどっています。がん統計上の大腸は「盲腸」「結腸」「直腸」「肛門」の総称です。本稿もそれにしたがって進めていきます。
胃がんなどと同様、「上皮内がん」(悪性ポリープを含む)と「浸潤がん」に分けることができます。02年以前は、上皮内がんが見つかることが少なかったため、浸潤がんと一括して集計されていました。内視鏡による大腸がん検診が十分に普及していなかったことが大きな理由です。しかし、03年以降は区別してカウントされるようになりました。
〈表〉は03年と12年の新規患者数と、死亡数・年齢調整死亡率をまとめたものです。この10年間で患者数は、男性1・6倍、女性1・5倍に増加しています。ただ内訳を見ると、上皮内がんが3~4倍に増えている一方、浸潤がんは1・3~1・4倍にとどまっていることが分かります。ちなみに、高齢化の影響を取り除いた年齢調整罹患率を見ると、浸潤がんでは男女とも1・1~1・2倍。つまり大腸がんの増加の最大要因は、高齢化が進んだことと、検診などによって上皮内がんの発見率が上がったことです。