遺伝子変異の有無で予防策が 卵巣がん治癒率アップのカギ
ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーは、遺伝子検査を受けて乳がん、卵巣がんのリスクが高いことを知り、両方の乳房、卵巣・卵管の切除を行った。今後、日本でも特に卵巣がんの治療が大きく変わるかもしれない。
アンジーのニュースで話題になったのが「遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)」だった。主にBRCA1、BRCA2の2つの遺伝子変異ががん発症に関係しており、遺伝子変異がない人よりがんになるリスクが高い場合を指す。
卵巣がんの治療で注目されているのが、このHBOCだ。卵巣がんは早期発見が困難で、進行がんで見つかる人が多く、2人に1人が亡くなる。しかし、HBOCに対する治療が卵巣がん患者の寿命を延ばすことにつながるかもしれないのだ。慶応義塾大学医学部産婦人科・青木大輔教授(婦人科腫瘍専門医)によれば、卵巣がんの約10%に遺伝子変異が関係しているという。遺伝子変異の卵巣がんの90%を占めるのが、前出のBRCA1.2だ。
遺伝子変異をチェックするには、家族歴がひとつの重要な指標になる。青木教授は、卵巣がんの患者から家族歴を聞き、本人の発症と家族の発症との関係を調べた。