肺がんや心筋梗塞のケースも…「肩痛」には重大病が潜む
「肩の痛み=五十肩」と安易に考えないことに加え、肩の痛みの対策として知っておくべきことがある。
■軽い痛みでも重症例がある
痛みが軽いと、大したことがないと思って放置しがちだが間違いだ。
「たとえば腱板断裂では完全に腱板が切れている場合より、不完全に切れている場合の方が痛みは強いことが多い。不完全な断裂の方が癒着や拘縮(硬くなる)が起こりやすく、拘縮による痛みが生じるからです。しかし、程度でいうと完全に腱板が切れている方が重症です」
頚椎ヘルニアでも肩の痛みが生じるが、感覚神経は損傷されず、運動神経だけが損傷されている「キーガンタイプ」では、痛みはほとんどない。
また、肩の痛みは心臓や肺など内臓の病気でも生じる。左肩の痛みを「単なる肩こり」程度に思っていたら、実は「心筋梗塞を起こす前触れだった」「肺尖部にできた肺がんだった」というケースは珍しくない。
■腕が上がらなければ積極的な治療を検討
五十肩が進むと、肩関節が拘縮して肩の可動域が狭くなり、腕が上がらなくなる。日常生活に支障が多々生じる場合は、専門医によるMRI検査などの精密検査を受け、程度によっては「神経ブロック下授動術」を検討することもある。神経ブロック注射の後、縮んで動きが悪くなった組織「関節包」を医師が直接動かし、関節の動きを改善する治療法だ。