著者のコラム一覧
永田宏長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

膀胱・腎臓がん手術 なぜ都道府県格差が激しいのか?

公開日: 更新日:

 膀胱がん腎臓がんの手術の都道府県格差を見るために、人口10万人当たりの手術実施件数を<表>にまとめました。他のがんの手術以上に格差が大きいことが分かります。

 まず膀胱がん。膀胱の摘出術と、尿路から内視鏡を挿入して内側からがんをそぎ取るTURBTに分かれますが、特に摘出術における格差が目立ちます。トップの愛媛県が6.0件に達しているのに対し、最下位の山梨県、徳島県、高知県はゼロ。つまりこの3県の病院では、2014年度において膀胱がんの摘出術が全く行われなかったということです。摘出術の対象となる患者は全員、他県の病院に流れたのでしょう。

 TURBTは摘出術と比べて手技が簡単で、短時間で終了します。そのためでしょうか、実施件数の格差はさほど大きくありません。トップの香川県と46位の青森県の差は2倍ほどにとどまっています。ただ、沖縄県だけが飛び抜けて少ない数字になっています。摘出術も37位(1.8件)と少なめですから、そもそも患者が少ないのかもしれません。

 腎臓がんは、がんに侵された側の全摘が基本で、開腹術と腹腔鏡によるものに分かれます。がんが周辺の組織やリンパ節に浸潤・転移している場合は、切除範囲が広く手技も複雑になるため、開腹術が選択されます。しかし、悪い腎臓を切除するだけなら、傷口が小さく回復が早い腹腔鏡が好まれます。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…