治療薬急激進歩も ほくろのがんは暴れ出すと手に負えない
悪性黒色腫とは、いわゆる「ほくろ」のがんのことで、メラニン色素細胞ががん化したものです。日本人の罹患率は白人よりははるかに少ないのですが、危険因子として紫外線への過剰な反復暴露があげられます。
足の裏、爪などにできやすいのですが、顔、頭、四肢、陰部、果てはまれですが消化管など、どこにでも生じることがあります。皮膚にあることから発見しやすく、形が非対称、境界が不明瞭、急に大きく盛り上がってきた、色にむらがあるなどの場合は要注意です。皮膚科を受診されるのがよいでしょう。
皮膚科では「ダーモスコピー」という特殊な拡大鏡で色調を詳しく調べ、診断確定には病変全体を切り取って病理検査を行います。ほくろの一部を引っかいて調べると転移を促すこともあるようで、悪性を疑う時は全体を切り取って調べます。
転移の有無を調べる際は、胸部X線、CT、MRI、PETなどの画像診断機器が使われます。また、「センチネルリンパ節生検」という検査があります。初期の段階で、周りのリンパ節に転移していないかどうか、がんの場所から最初に転移すると考えられるリンパ節(センチネル=歩哨、つまり見張り番)を生検して調べる方法で、乳がんなど他のがんでも応用されています。センチネルリンパ節生検で転移が見つかった場合は、周りのリンパ節をできるだけ郭清します。