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佐々木常雄東京都立駒込病院名誉院長

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

治療薬急激進歩も ほくろのがんは暴れ出すと手に負えない

公開日: 更新日:

 主婦のBさん(58歳)は、「2カ月ほど前から右の頬のほくろが大きくなった気がするんです。もともと大きかったのですが、なんとなく飛び出してきたようにも思う」とのことで、まず自宅近くの皮膚科医院を受診、紹介されてきました。約1.5センチの大きさで、皮膚科で切り取って病理診断の結果、悪性黒色腫と確定しました。

 Bさんは元気そうに見えました。しかし、CT等の検査により、すでに肺と縦隔に転移が認められています。化学療法が適応とのことで、腫瘍内科に入院となったのです。「ダカルバジン」という抗がん剤を中心に化学療法が行われましたが、さらに病気は進行して脳に転移し、急激に胸水がたまり、心嚢(心臓を包む袋)にも及びました。

 呼吸困難を軽減するために胸水を抜く処置をしましたが、約700ミリリットル抜いたその胸水は墨のように真っ黒でした。その後も病状は急激に悪化、あれよあれよと進行していき、担当医としては「こんな悪いがんがあるのか」と思うほどでした。

 Bさんを担当させていただく以前の患者さんでも、転移のある悪性黒色腫は、出来たところは1センチほどの小さながんなのに、しばらくおとなしくしていても「いざ、暴れ出すと手に負えなくなる」という印象がありました。手術後の再発予防のため、インターフェロンも使用されてきましたが、抗がん剤が最も効きにくいがんのひとつです。

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