2週間で“汗をかける体質”に 酷暑に負けない体のつくり方
かつての日本人は夏になるとこの暑熱順化を自然に手にしていたが、空調が当たり前の今は、これが難しくなってきた。とはいえ、エアコン生活をしていても、毎日のように運動したり、通勤などでよく歩いていれば、夏には自然に暑熱順化が成立する。これができない人には、意図的に熱刺激を与える工夫が必要だ。ただし、70歳以上で汗腺が衰えて汗をほとんどかけない人は、暑熱順化が成立しないことがあるので注意したい。
「理想は運動です。例えば10分のウオーキングを1日5回、休憩を挟んで行えば、1週間程度である程度の暑さに慣れるといわれています」(東丸名誉教授)
ただし、暑熱順化は一時的であって、仮に完成しても熱刺激がなくなれば1~2週間で効果は減少し、3週間までにほぼ完全に消失する。不完全な暑熱順化であれば、涼しい日が数日続けば効果が消えるといわれている。
「暑熱順化が成立するには1回で38度の核心温を連続1・5時間維持することが必要です。これを10日間ほど繰り返すと確実に暑熱順化を手にすることができます。入浴は、熱刺激の方法としては良い方法ですが、普通の入浴では42度のお湯に肩まで10分つかっても核心温は38度にはならないので、暑熱順化の方法としては不適切です。二酸化炭素の皮膚吸収を高める特殊な油脂を添加した二酸化炭素発生の発泡入浴剤を使った入浴なら、暑熱順化のように汗を増やすことができるかもしれません」(菅屋名誉教授)