遺伝子に注目で成果 手術不可の進行・再発肺がんに新兵器
「2007年の進行肺がんの4種類の化学療法の無作為比較試験では、4種類ともほとんど差が出ず、奏効率30%、無増悪生存期間は5~6カ月でした」(光冨医師)
10年前の結果と現在を比べると、治療成績が大きく進歩したことがわかる。
48歳で肺がんから肝臓へ転移していた患者は、クリゾチニブで肺がんが縮小し、肝臓転移がわからなくなった。また、後藤医師が海外で出会った患者は、ROS1融合遺伝子陽性で、クリゾチニブ投与で4年半経った今も元気だ。
なお、今回の薬は、5年前に承認された「ALK(アルク)融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」に続き、追加承認された形だ。
ALK融合遺伝子も、ROS1融合遺伝子と同様にがん細胞の生成・増殖に関係する遺伝子変異で、非小細胞肺がんの3~5%を占める。