酷使や加齢で声帯が変化 しわがれた声は「注射」で若返る
最近では加齢に加えて逆流性食道炎の影響で声帯がダメージを受ける人が増えている。
■もともとは皮膚の再生のために開発
この状況を改善する方法が、褥瘡や皮膚潰瘍治療薬として使われている「フィブラスト」の声帯への注射だ。
「フィブラストは線維芽細胞を増殖する働きがあります。もともと皮膚の再生に開発されたもので、線維芽細胞を増加するとともにコラーゲンの正常化を促すとされています。実際、声帯の線維芽細胞にフィブラストを加えるとヒアルロン酸の産生が促進され、コラーゲン産生が抑制されることがわかっています」
その効果は抜群で、これまで加齢により声に障害が出た患者に注射したところ89%の成功率を得たという。
「50代の男性教師や90代の政治家の患者さんはこの注射で声を取り戻して職場復帰されました。治療法は簡単で、表面麻酔をしたうえで、内視鏡で注射位置を確認しながら左右の声帯それぞれに0.1㏄ずつ注射するだけ。これを1週間に1回、4週行います」