「腰痛の8割は原因不明」は間違い 痛み解消最新ポイント
腰痛の原因の大半は原因不明――。よくいわれるが、本当なのか? 腰痛治療のスペシャリストである札幌医科大学医学部整形外科学講座・山下敏彦教授に聞いた。
「2001年の米国の論文で『原因が明らかでない腰痛が85%』と発表されて以来、腰痛の原因の8割が原因不明という認識が定着しました」
原因不明の腰痛を「非特異的腰痛」というが、「非特異的腰痛の大半はストレスが関係している」という認識もひとり歩きするようになった。
ところが山下教授によれば、01年の論文は家庭医によるもので、レントゲンで原因がわからないものをすべて非特異的腰痛とした。
整形外科医が調べればどういう結果が出るのか? 16年、山口大学の研究グループが学術雑誌「PLOS one」に発表した研究結果は、これまでの認識を覆すものだった。
それは、腰痛外来患者320人を対象に「質問票」「X線写真」「整形外科医による身体診察」「神経学的検査」「痛みがある箇所に局所麻酔を注射し痛みが取れるかどうかで痛みの原因を探る診断的ブロック」などあらゆる検査法を駆使して、腰痛の原因を突き止めたもの。結果は、原因不明の非特異的腰痛が22%、原因を特定できる腰痛が78%。つまり、「原因が“明らかな”腰痛が8割」だったのだ。