なぜ広まらない? 手で腰痛を治す「AKA-博田法」のいま
注射も手術も不要の腰痛治療として開発された「AKA(関節運動学的アプローチ)-博田法」。指の一部で仙腸関節のひっかかりやねじれ、拘縮などの機能異常を正し、腰痛やその関連痛である肩凝りや首の痛みなどを解消する。10年ほど前までは盛んにメディアに登場した画期的な徒手療法だが、最近はとんと聞かなくなった。「仙腸関節を1ミリ動かせば、腰痛は消える」(光文社)の著者で、「岡田理学クリニック」(横浜市青葉区)の岡田征彦院長に理由を聞いた。
整形外科の教科書には、腰痛や座骨神経痛は「椎間板ヘルニアが神経を圧迫することで起きる」と書いてある。しかし、椎間板ヘルニアが原因の痛みやしびれはマレ。最新の画像装置で椎間板ヘルニアが確認されても、50%の人は症状がない。これは国内外の複数の医学論文が報告している事実だ。
「しかも、腰痛の85%は原因不明なのです。それなのに、画像資料を眺めながら対症療法として投薬や外科手術などの治療が行われているのが現状です。一方、AKA法を開発した博田節夫先生は腰痛の原因を明言しています。その多くは、脊椎の一番下の骨である仙骨と、骨盤を構成する骨のひとつである腸骨をつなぐ仙腸関節の異常です。仙腸関節はビルの免震構造と同じで、脊椎の根元にあって数ミリ動くことで脊椎の負担を軽減します。これが何かの拍子に列車の車輪がレールから外れたような状態になり、痛みが出るというのです」