3割が残薬あり 糖尿病治療薬「飲み忘れ」が寿命を縮める
■「自分は軽症で大丈夫」は大間違い
患者が積極的に治療方針の決定に参加し、治療を受けることを「アドヒアランス」と呼ぶ。「薬をきちんと飲む」はまさにこれ。「残薬あり」は、「アドヒアランス不良」を意味する。
海外のデータになるが、アドヒアランスを5段階に分けると、アドヒアランスが低いほど死亡リスクが高い。アドヒアランスが最も不良の群は、最も良好の群に対し12倍以上の死亡リスクだった。
「糖尿病の薬物治療をしているのに血糖コントロールの目標値に達しないなら、次の治療を開始すべき。この『治療強化』のタイミングは、アドヒアランス良好の群ほど早いという報告があります」
治療強化のタイミングの遅れは、血糖コントロールの改善に影響を与える。「1年以内に治療強化をした群」「1~5年に治療強化の群」「治療強化なし」を比較した研究では、1年以内の治療強化群は早くに血糖コントロールが目標値に達し、長期的に維持。1~5年の群も、1年以内よりは遅れるものの、血糖コントロールの改善を維持できた。