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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

ET-KINGいときんさんの命奪った肺腺がんには4つの治療薬

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 EGFRに変異があると、細胞増殖が止まらないと書きましたが、そこにブレーキをかける治療薬(EGFR―TKI)が開発されています。第1号のイレッサに続き、タルセバ、ジオトリフ、タグリッソで、現状では第3世代までの4つが健康保険で使用可能。第4世代の認可も間もなくです。

 これらの薬剤の登場により、脳をはじめ全身に転移があっても5年以上生存する方が増えています。

 従来、脳転移があると、脳全体に放射線を照射する全脳照射が行われたり、転移予防で手術後に全脳照射を併用したりすることがありました。

 しかし、全脳照射をすると、正常な脳組織も放射線のダメージを受けるため、3カ月ほどで認知機能が下がるリスクがネックでした。

 EGFR―TKIの登場で、日本肺癌学会のガイドラインが変わり、術後の全脳照射は併用しないようになりました。照射するなら、ピンポイント照射で、最初に照射してからEGFR―TKIを順次使い分けていくのがベストとされます。

 抗がん剤は効かないといったイメージがありますが、そういうイメージは過去のもの。カギを握るのが遺伝子検査で、遺伝子チェックで効果的な薬剤を使えば、治療がうまくいく可能性があるのです。

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