著者のコラム一覧
永田宏長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

ビル・ゲイツが推進 遺伝子ドライブで有害生物を皆殺し?

公開日: 更新日:

 マイクロソフトのビル・ゲイツが推進している「ターゲットマラリア計画」をご存じでしょうか。マラリアは蚊が媒介する熱帯病のひとつ。毎年、数千万人が感染し、数十万人が亡くなっています。治療薬はありますが、ワクチンはなく、蚊に刺されないことが最も有効な対策です。しかし、この計画では、蚊そのものを地上から抹殺しようとしているのです。

 それには「遺伝子ドライブ」という聞きなれない方法が使われる予定です。これもゲノム編集の応用のひとつです。

 まず蚊の遺伝子を操作し、子供がすべて雄になるように改良を加えます。これを自然界に放すと、野生の蚊と交配して雄の蚊ばかりが生まれます。しかし、代を重ねるごとに人工の遺伝子が薄まっていき、やがて効果がなくなってしまいます。

 そこでさらに、交配相手の染色体に、雄遺伝子を自動的に組み込むための分子ツール一式(CRISPR配列、Cas9酵素の遺伝子、ガイドRNAをつくるための遺伝子)を搭載するのです。すると、受精卵の中でクリスパーが作動し、野生の親から引き継いだ染色体にも、自動的に雄遺伝子を挿入してしまいます。これにより、代を重ねるごとに雄がより多く生まれて雌が減っていくため、数年もすればその地域の蚊が絶滅する、というシナリオです。これが遺伝子ドライブです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高嶋ちさ子「暗号資産広告塔」報道ではがれ始めた”セレブ2世タレント”のメッキ

  2. 2

    フジテレビ「第三者委員会報告」に中居正広氏は戦々恐々か…相手女性との“同意の有無”は?

  3. 3

    大阪万博開幕まで2週間、パビリオン未完成で“見切り発車”へ…現場作業員が「絶対間に合わない」と断言

  4. 4

    兵庫県・斎藤元彦知事を追い詰めるTBS「報道特集」本気ジャーナリズムの真骨頂

  5. 5

    歌手・中孝介が銭湯で「やった」こと…不同意性行容疑で現行犯逮捕

  1. 6

    大友康平「HOUND DOG」45周年ライブで観客からヤジ! 同い年の仲良しサザン桑田佳祐と比較されがちなワケ

  2. 7

    冬ドラマを彩った女優たち…広瀬すず「別格の美しさ」、吉岡里帆「ほほ笑みの女優」、小芝風花「ジャポニズム女優」

  3. 8

    佐々木朗希の足を引っ張りかねない捕手問題…正妻スミスにはメジャー「ワーストクラス」の数字ずらり

  4. 9

    やなせたかし氏が「アンパンマン」で残した“遺産400億円”の行方

  5. 10

    別居から4年…宮沢りえが離婚発表「新たな気持ちで前進」