食後の胸焼けは要注意 胃酸は「歯・耳・のど」まで蝕む
「ところが、年を重ねると下部食道括約筋が緩んできて、逆流性食道炎を発症しやすくなります。肉などタンパク質の多い食べ物を取ると、十二指腸からコレシストキニンと呼ばれるホルモンが分泌され、下部食道括約筋が緩みやすくなり、胃酸も分泌しやすくなります。肥満、猫背など姿勢が悪い人、便秘気味の人は胃を圧迫しやすいので要注意です。食べてすぐに横になる人は、物理的に胃酸が逆流しやすくなります」
胃酸が胃から食道に逆流すると食道の粘膜を刺激し、炎症が起きたり、ただれや潰瘍ができたりする。逆流した胃酸は食道から肺につながる気道の入り口(喉頭)にダメージを与えて炎症を起こす。その結果、慢性的な咳を出したり、ポリープを作ったりして声をだみ声に変えたりするという。
「最近ではとくに睡眠中に逆流した胃酸が食道にとどまらず口の中へ逆流するケースが増えているのです。歯は酸に弱いが、通常は唾液が酸を中和してくれるため問題がありません。ところが、酸性度の高い飲み物を繰り返し取って酸に触れるうちに、歯の表面のエナメル質が溶け、その内側の象牙質までダメージを受けてしまうのです。しかも、酸蝕歯は虫歯と違い、障害を受ける範囲が広いことが報告されています」(木村院長)