筋ジストロフィーの小澤綾子さん「歌うことが生きる力に」

公開日: 更新日:

 初めて病院に行ったのは中学3年生のときです。高校進学にあたり、担任の先生が「成績はトップなのに体育だけが問題。もし何かの病気なら診断書があった方がいいから一度病院で診てもらったらどうか」と言われ、その旨を親に告げて、やっと受診できたのです。

 ところが診断は「個人差です」とのこと。診察は歩き方や走り方を見ただけでした。「そんなわけない」と思いつつ、何も言えません。「結局、誰にも分かってもらえないんだ」と知って、診察室を出た途端に涙があふれました。

 今思えば、整形外科を受診したのが間違いでした。この病気は神経内科の病気です。でも、そんな科があることすら当時は知りませんでした。

 2度目の受診は大学に入って間もなくでした。「ちゃんと検査してもらいたい」と親に告げ、大学病院の整形外科を受診しました。そこから神経内科に回され、「進行性の筋ジストロフィー」と診断されたのです。

 医師は「治療法も薬もない。10年後には車椅子で、その先は……インターネットで調べてください」と言葉を濁しました。ショックだった半面、「やっと分かってくれる人がいた!」といううれしさもありました。とはいえ、当時は「車椅子になったらもうおしまいだ」と思い、夢や将来は考えられなくなりました。楽しかったはずの友達との会話に何一つ共感できなくなり、家と学校を往復するだけの毎日に……。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  2. 2

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  3. 3

    松本人志は勝訴でも「テレビ復帰は困難」と関係者が語るワケ…“シビアな金銭感覚”がアダに

  4. 4

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  5. 5

    貧打広島が今オフ異例のFA参戦へ…狙うは地元出身の安打製造機 歴史的失速でチーム内外から「補強して」

  1. 6

    紀子さま誕生日文書ににじむ長女・眞子さんとの距離…コロナ明けでも里帰りせず心配事は山積み

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    メジャー挑戦、残留、国内移籍…広島・森下、大瀬良、九里の去就問題は三者三様

  4. 9

    かつての大谷が思い描いた「投打の理想」 避けられないと悟った「永遠の課題」とは

  5. 10

    大谷が初めて明かしたメジャーへの思い「自分に年俸30億円、総額200億円の価値?ないでしょうね…」