「安楽死」を希望する患者が診察して30分後には笑顔を…
■担当医は一緒に悩んだのだろうか
Mさんが副作用で治療を断った時、大学病院の担当医から「あなたがそう思うならやめていいですよ」と言われ、他の治療法などの提示はありませんでした。そこから、Mさんの中で「もう手だてがない」という思い込みが生まれ、「安楽死」という考えにつながっていったように思うのです。
この日のMさんは、治療法が見つかって生きる希望が湧いてきたのだと感じました。
たしかに、再発した膵臓がんは完全には治らない可能性が高いといえます。でも、Mさんは、いま元気なのです。もちろん、何も治療しないで過ごす選択肢もあります。患者には自己決定権があり、患者自身が「治療しない」と言ったから……本当にそれでいいのでしょうか?
はたして担当医は患者と一緒に悩んだのだろうか。患者がどんな治療を選択するのかは、医師からの治療法の情報がとても大切なのです。今回のMさんを見て、他の医師の意見を聞いてみること(セカンドオピニオン)も大切であると思わされました。