お年寄りだけじゃない…餅が詰まりやすい人の特徴と対処法
「高齢者は、歯を失うなどして噛む力が衰えているのに加え、舌などの口腔内の筋肉で食べ物をのどに送る力などが低下しているからです。しかも、唾液量が減るためのみ込む力も弱まります。つまり、本人は噛んでいるつもりでも実際はのみ込んでいる、早食いしているケースがあり、それが気道のふたの部分に食べ物がどんどん詰め込まれていく詰め込み食いにつながり、気道が開かなくなる原因になっているのです」
それでも咳をして詰まった餅を押し返すための防御反応ができればいいが、年を取るとその力も弱まるという。
高齢者は姿勢も問題で、背中をまるめた猫背の場合、顎が上がって、顎の噛むための筋肉が十分発揮できずに気道に餅が詰まりやすい。椅子にしっかり座らず足をぶらぶらしていると体が安定せず、のみ込むための首の筋肉が動かしにくいからだ。
「若い人でも最近は歯が悪い、噛む力が衰えている、唾液量が少ない、のどの奥に食べ物を運ぶ筋力が低下しているケースも多い。餅の事故は若いから大丈夫というわけではないのです」
それにしてもなぜ、食べ物のなかで餅がのどに詰まりやすいのか。その理由は、餅の温度にある。餅は表面温度が体温位近い40度以下に低下すると硬くなり始める性質がある。冬は室温が低く、餅を口の中に入れてのどに送るまでに外気に触れるため温度が30度くらいに低下することで一層硬くなる。しかも、餅の温度が体温以下になると、口の中で餅同士がくっついたり、のどの粘膜にくっついたりしてはがれにくくなる。そのため、気道を塞いでしまうリスクが増すのだ。